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趣味:読書の会社員が気ままに綴る書評・読書記録のブログ

【書評】『あまからカルテット』

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あまからカルテット-柚木麻衣子著

音楽の不思議なところの一つは、演奏する人数によってその集団の呼び名が変わるところではなかろうか。

1人で演奏するならソロ。

2人ならデュオ。

3人ならトリオ。

4人ならカルテット。

5人ならクインテッド。

聞き馴染みはないが6人目以降の呼び名も存在するらしい。

(ちなみに6人で演奏することはセクステットと呼ぶみたいだ。頭が中学生で止まっている私には卑猥な響きに聞こえる。)

川が海にたどり着くように、演奏する人数最終形態はオーケストラになるのだろうか。

あれは調べたところ一般的な編成でも70人にが必要なのだそうだ。

生音を聞けば圧倒されるのも納得である。

 

しかし演奏者が多ければ多いほど良いことなのだろうか。

確かに音に厚みやら深みやらが出て何とも素晴らしい音色になるのかもしれない。

ただ、演奏する人数が増えれば増える程そのメンバーの関係が希薄になるのでは?と勝手に思ったりする。

オーケストラクラスの規模になれば指揮者が必要になってきたりするではないか。

(他の演奏隊にも指揮者が必要かどうかは知らない。無知ですいません。)

目を合わせて演奏したり、みんなで音を確認しながらまるで会話をするかのように演奏するには丁度いい人数があると思う。

 

その点カルテットはいい具合じゃなかろうか。

トリオじゃなんか寂しいしクインテッドはなんだか多い気がする。

何よりカルテットって響きがいい。

哀愁さえ感じる。

なんかそのままドラマのタイトルにできそうなくらいの奥深さがそこにはある。

(実際に坂元祐二さん脚本のドラマのタイトルになっている。今度見てみようと思う)


カルテット主題歌 おとなの掟 / Doughnuts Hole (椎名林檎 )

 

椎名林檎さん、素敵~。

もう~かっこいい~。

今からTSUTAYA行くか!

よし、みんなでカルテットみよう!

と、意気込んだところで今回は"あまからカルテット"について綴っていきます。

 

 

あらすじ

"あまからカルテット"という名の通り、主人公は4人登場します。

しかも全員女性!!

子供ピアノ教室を運営する咲子。

大手出版社に勤める薫子。

カリスマ料理ブロガー由香子。

大手化粧品会社美容部員満里子。

高校時代から仲の良かったアラサー女子4人組が、仕事や恋愛を通じて成長していく大人の青春物語と言ったところでしょうか。

恋愛に臆病な咲子。

高飛車でプライドの高いが故職場のスタッフから嫌われる満理子。

ブログ人気に火がつき売れっ子料理家になるも、ネットの誹謗中傷に悩む由香子。

結婚し、姑とぶつかる薫子。

個性豊かな登場人物達にやってくる問題を、みんなで協力して乗り越えていく物語。

時にはぶつかることもあるけれど、友達最高!!的短編小説ですね。

 

一話一話全てに鍵となる料理が登場して来て、それを手がかりに問題を解決していく。

(ここが"あまから" の由縁といったところでしょうかね)

登場するのは「いなり寿司」「甘食」「ハイボール」「ラー油」「おせち」。

(タイトルに織り込まれていて、私が好きなのは「胸騒ぎのハイボール」。なんだか語呂の良い響きで読みたくなっちゃいません?)

そのどれもが話にアクセントを加えてくれていて物語を支えてくれています。

 

各主人公別エピソード短編集のような構成になっていますが、時系列がキチンと整理されており、長編小説を読み終えたような満足感を読了後には得ることができます!

難しい比喩表現や、難解な言葉も使われていませんので読書初心者の方にもオススメです!!

 

 

大人になっても一緒にいられる友達って

大人になっても付き合いが続いてる友達って案外少ないですよね。

23歳の若造である私が既に実感しているくらいなんだからこの先もっと減るんでしょうね。

いやだなぁ。悲しいな。

そうは言っても就職・結婚・転勤・出産のように様々なライフイベントを迎える中で、嫌でも自分の周りの環境は変わっていってしまうわけで。

友達ともだんだん時間があわなくなっていくわけで。

そりゃあ疎遠になる友達も出てくるわけで。

あぁぁぁぁぁぁぁあ悲しいいいいいいいい。離れないでえええええええ。

考えるとなんだか寂しいけれど、"こいつだけは!""こいつらとだけは!"って胸を張っていえる友達だけは近くにいて欲しいし、近くにいたいなぁって思うんです。

この本に出てくる4人みたいに、自分が辛い時や何かに立ち向かう時に助けてくれる友達が何人いるんだろうか。

はたまた自分はそんな友達に何かできることはあるのだろうか。

そんなことを本書を読み終えてぼんやりと考えましたね。

大人になっても一緒にいて楽しめて、ふざけた話から真剣な話まで真っ向勝負でできる友達がいるというのはなんと素晴らしいんだろう。

"いつもみんなありがとう!"って素直に言いたくなる一冊でしたね!

ぜひ読んでみて感想を教えてください!!

 

 

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あまからカルテット (文春文庫)

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